福祉国家 スウェーデン 
Return☜☞Next

スウェーデンでは、1990 年代に、 平等法(1991:433)と3つの雇用差別禁止法(民族・宗教・信仰上の雇用差別禁止法 1999:130、障害者雇 用差別禁止法 1999:132、性的指向上の雇用差別禁止法 1999:133)を制定・施行した。その後更に強力な 差別禁止法を制定するために検討委員会が設けられ、2008 年 3 月の国会に法律草案が上程され、2008 年 5 月の国会で採択、2009 年 1 月1日より Dskrimineringslag(2008:567)として施行されている。

新差別禁止法は、既存の差別禁止法を全て廃止し、新たな差別禁止条項を加えて策定された法律であ る。新差別禁止法は「性差、性同一性障害、民族・人種、宗教・信仰、障害、性的指向・年齢に対する 差別を禁止し、他の人々と同じ価値と可能性を持てるようにすることを目的」(第1条)とし、6章から 成っている。

第1章が導入規定(主な内容:法の目的、法の内容、法の強制力、差別の定義、性差、性同一性障害、 民族・人種、障害、性的指向・年齢)、第2章が差別・報復禁止(主な内容:雇用に関する差別禁止
:職 場におけるハラスメント調査と対応策、職務遂行能力の申告、教育に関する差別禁止:教育の場におけ るハラスメント調査と対応策、教育遂行能力の申告、公的責任を持つことのない労働行為と斡旋の禁止、 職業関連事業所の設立と経営、諸団体の会員活動、商品・サービス・住宅等、健康・医療ケア・社会サ ービス等、社会保険システム・失業保険・学習支援、防衛における差別禁止:防衛の場におけるハラス メント調査と対応策、公務員採用、報復の禁止)、第3章が積極的対応策(主な内容:雇用に関して:雇 用者と被雇用者との協同、目標設定、職場内環境、新規採用、給与、平等化計画、教育に関して:目標 設定大学に対する上訴委員会)、第5章が補償と無 効措置、第 6 章が訴訟手続き(主な内容:適用される法律、上訴申立ての権利、立証義務、時効:雇用、 その他の領域、訴訟手続きの費用、その他の規定)について明示してある。

新差別禁止法の特徴は、第4章の監視制度に明示された差別オンブズマンと差別委員会の設置である。
  この監視制度が機能することでこの法律の実効力が高まってくると言われている。また、法律に抵触し た場合の罰則規定も設けられ、差別禁止規定がより強化される内容となった。
スウェーデン政府はこの法律を「今までにない強力な差別禁止法である」と宣伝に務めているが、障 害者団体などは「差別に関する政府の認識は驚くほど貧困で、今回出された新差別禁止法もあいまいで 不十分である」と批判的である。

ニアンコ・サブニ(Nyamko Sabuni)統合平等大臣(Integrations- ochjämställdhetsminister)「期限内に各自治体が十分な手続きが取れるように要請を行ってきましたが、 まだ十分ではありません」と本法の不十分さを認めている。

 しかし、これまでの雇用という限られた枠 を超えて船出をしたことだけは確かである。この法律の施行を待ち侘びていた人たちも多く、同性愛カ ップルが早速教会で結婚式を。マイノリティの人たちの法律に寄せる期待の高さが伺える。


その意味でも、今後のスウェーデンの新差別禁止法施行後の動きから目が離せない。