フランス福祉

① チケレストラン 
 チケレストラン(以下:チケレス)とは、会社が社員に配布する「社外での食事や食料品の購入に使える全国共通の食事用金券」のことである。

本人でなくても使え、さらにはスーパーやパン屋でも利用可能なので働くフランス人にとってはかなり有難い制度だ。有効期限は1年と長い。
普段は自分で作ったお弁当で昼ごはんを済ませ、チケレスは週末のごほうびとして有名レストランで利用するという使い方をしている人もいる。

全ての会社で支給されるというわけではないが、余程小さな会社ではない限り支給され、さらにフランス全国ほとんどのレストランで使えるので、チケレス
これは普段の給料の80%を失業手当として受け取りつつ、専門の機関で職業訓練を受けられるというもの。月に一度、コーチング会社のカウンセラーと面談し、就職に必要なスキルを身につけたり、履歴書の書き方や面接の練習を手伝ってくれる。

この研修と失業手当ては
1年間続くのだが、パートやアルバイト程度の勤務体制でも、ここまで手厚い支援を受けられるのはとても有難い。

フランスでは失業率が
9%前後と日本の倍であり、度々問題視されるが、失業率の高さの裏にはこのような手厚い福祉制度があるのだ。日本ではパートやアルバイトでも失業手当がもらえるが、「1週間に20時間以上働き、更に31日以上働き続ける予定であること」が条件となっており、フランスに比べると厳しい。

 ミュチュエルとは任意保険のことで、健康保険証で還付されない医療費をカバーするためのものである。会社などに勤めている人の場合、その会社がミュチュエルに団体加入しているので、フランス人はほぼ全員ミュチュエルに加入している。通常、従業員は強制加入で保険料は給与天引きとなるため、別途個人で加入する必要はない。家族もその保険に付帯できる場合が多い。(フランスニュースダイジェスト参照)

眼鏡やコンタクトレンズまでカバーできて凄い。コンタクトレンズは212ユーロ(約3万円)支給してくれ、眼鏡はフレームが181ユーロ(25千円)、レンズが支払いをすることなく購入できる。フランスの眼鏡屋さんによっては、「1つ買ったらもう1つ好きな眼鏡が買える」というようなキャンペーンをしている会社も多いので、目の悪い人にとってはかなり嬉しい制度だ。


フランスにおける障害者関係法制の考察

 およそ、法制を論ずる前に、必要なことは、法令により保護される客体すなわち障害者リハビリテーションの対象となる人々の数字的な把握であるが、フランスの場合においても、正確な障害者数を把握することは非常に困難であって、ことに包括的に「障害者」“hadicapes”と言う場合には、取り扱う機関・団体によっては、400万人ないし500万人に及ぶこととなる。しかしながら、より具体的に障害別および年齢別に積み上げて推計するとすれば、現在のところ、保健省に所属するルネー・ルノアール参事官の記述しているように、統計約320万人、総人口の6.3%と考えるのが最も適当と言えよう。なお、この根拠と内容については後に述べることとする。

 ところで、フランスで障害者のリハビリテーション施策を所管する省庁は多岐にわたっているが、なかでも、労働省 )、保健省、国民教育省及び施設庁が緊密な関係を保っている。

  さて、障害者は障害が多種類にわたっているので、ぞれぞれ障害別に応じてケースワークをすることが最も重要なことであるが、きめの細かい配慮を必要とするリハビリテーションの分野では、障害者として一律にケースワークを行うことのないようにするため、従来は、非常に多種多様な法令が制定されていた。そこで、これらの共通する原則的・基礎的事項を明文化した障害者福祉基本法(le loi d´orientation en faveur des handicapes)ともいうべきプログラム法が提出されて、可決を待つ(訳者注:フランス障害者リハビリテーション協議会からの手紙によれば、若干の修正は加えられるであろうと予測されるそうである)道順となってきたのである。そこで、この新法は、二つの目的をもっている。その一つは、障害者の基本的な諸権利を保障することであり、いま一つは、前述のように非常に複雑化した現行諸法令を統合するか、ないしは単純化することにあると言えよう。


 そこで、まず、障害の予防面については、早産が障害の基礎的な原因の一つであるので、フランス政府の施策の重点の一つは、誕生前の検査に重点をおいているが、その回数を制限しているので、実際には、必要と判断される数の4分の1程度である。これらの検査をうけることは、出産手当の交付を希望するすべての妊産婦にとっての義務となっているが、実際に受けている人は比較的少数である。1970年8月25日の行政通達では、初めての検査のときからの診断書を累積しておくことが奨励されており、一般の中央病院が障害の発生と関連して段階に応じた機能を発揮することとなっている。1972年2月2日の政令は、これらを実現するに必要な民間機関の設置を規定している。そうして、児童の誕生に当たっての助産の仕方が、障害の発生を予防する道でもあり、また、予測する道でもある。

各個人ごとに出産に当たって、遺伝性の疾病を直ちに追跡することが可能な健康手帳が配付されている。生産年齢となって恒久的な労働不能者すなわち廃疾と認定された人の80%は、この健康手帳において障害・廃疾と認定された児童と推測されている。そこで、出産前の検査を補う意味で、出生後の検査が行われている。

やがて、障害児にとって就学年齢がくると通学することとなるが、現在は、フランスでは義務教育年限が16歳までとなっているが、実際上、教育不可能の児童たちは、それぞれの場合に応じて、特別な教育設備が準備されなければならないこととなっている。大多数の教育施設に通学するときは、それぞれの場合に応じて特別な教育施設に通所して、その学費は社会扶助(aide sociale)によって保障されることとなっている。

この手当は、障害児のための特別な扶養を要する分野の経費をカバーするものであって、家族手当は加算されるものである。現在、障害児の教育の仕組みを修正しようとする新立法が行われているが、この法令は、障害児の教育を受けるについての権利を明確にすることを目的としているが、こうした場合には、普通の教育体系の中で位置づけることは不可能であるので、特殊教育の形をとることとなっている。

 もちろん可能なだけ、障害児教育を引き受けることができる普通学校は、極めて数が少ないものの、その機能を新法の下で続けていくであろう。また、障害者に職業能力を賦与するための特殊設備を備えたセンターは、大多数が民間機関で運営され、その建設費と運営について国の補助が認められているが、その補助率は約30%である。また、このセンターに在籍の障害児に対しては、社会扶助が支給されることがある。さらに、純然とした医療プランを組み入れた職業教育を行う段階になると、障害者自身に対する所得保障は継続されない。

 従来は、障害児家庭は、その資産状況に応じて、こうした職業教育に就学させる仕組みとなっていたのであるが、新法の特徴は、成人障害者に職業能力を賦与する場合の職種は非常に多様であって、また、生産過程の改良を行うことも必要であるので、こうした基本づけを行うことに主眼をおいている。

 障害者にとって重要な課題は、雇用問題であるが、およそ人の雇用能力に最小限度というものはあらかじめ予測されない。ただ、1957年法によれば「人は皆、身体的ないし精神的能力に適合するか、あるいは、能力より低目の程度の雇用状態をあてがわれるとか、あるいは、そういった雇用状態を維持すること」を規定している。この点で、重要なことは、障害者の労働能力の程度は、技術委員会で認定されるが、この委員会の認定は、新法施行後の障害者の将来を指導する場合の基準となるものである。

 フランスでは、障害者は、職業能力の段階に応じて、職業教育を受ける仕組みであるから、極めて弾力的な判断が伴う。これに加えて、自由業に就業することも、多くの障害者が希望しているところである。いずれにしても、障害者各人のために最もふさわしい雇用の場を準備することが必要な旨が強調されている。

 1926年以降は、戦傷病者を優先雇用することが事業主の義務となっていた。すなわち、10人以上の被用者を雇用する企業は、その1割以内を戦傷病者にあてなければならないこととなっており、その義務と関連して、1964年以降、一般障害者の雇用率は3%となっている。

しかし、企業のこうした雇用の義務については、罰則を伴わない。障害者の雇用義務を有する企業とは、工業会社、商事会社及びそれぞれの系列下にある企業、自由業の事業者、国及び地方公共団体の事務所、事業協同組合、農業経営者の会議所又はその連合体である。

これらの企業に従事する障害者は、健常人と全く同様に処遇される。すなわち、彼らの給与は、就労状況の監督をうけるが、もし能率の低下があっても、いかなる場合も20%以下に引き下げられることはない。さらに企業の分野によっては、障害者の一定範囲の者が解雇されるときには健常人の倍の退職手当が支給される。

 公共機関の場合は、雇用分類による管理部門のポジションが障害者のために留保されているが、障害者の雇用比率はおおむね3%となっている。

 1970年以降は、事業主は、被用者の配置を適正にするよう義務づけられている。とくに、障害者の職種の決定と配置換えを容易にするためには、国の財政上の援助が受け入れられることとなって、一人の障害者について2,500フランを限界として、その80%が国の補助となっている。同様にして管理部門を効率化するには、新規の法令で国家財政との結びつきを要することとなろう。

 次に、健常者より明らかに労働能力の低い障害者の場合の稼働能力の賦与についてであるが、労働者は、こうした障害者に対して保護工場(atelier protege)の設置を奨励している。この保護工場は障害者のみが対象であって、その能率によって給与が支払われる。保護工場の場合、工場のそれぞれのポストは、障害者のみによって占められ、その住居は工場に隣接して設置される。いま一つのパターンは、保健省に帰属する労働保護センター(le centre d'aide par le travail)である。このセンターは、能率上の競争力のない障害者が利用するものである。

 このセンターでは、障害者の給与は、国庫負担による扶助基金からの日給制か、あるいは一部、家庭からの仕送りで補われる場合がある。

 こうした場合の給与の最低限度は国民基金から支給される社会保障給付と同額である。なお、障害者の所得保障に関する概要は後に述べることとする。

 現在、障害者福祉基本法案の構想に基づいた障害労働者保護組織の再検討が行われているが、この法律の下では、上に述べた労働保護センターと保護工場との就業内容の不均衡を是正して、それぞれの機能に適合した就業が可能なように努められている。

 また、こうした障害者の勤務場所は、健常者の職場と同様な立地条件の下におかれるよう期待されている。

障害者各人の経済生活は平均化の方向にあると言えよう。障害者の通常労働による所得は、一般的な最低賃金を下回らないよう常に努力がなされているので、実際には保護工場における稼働所得は、一般の最低賃金の90%に当たる額が支給されることになろう。また、労働保護センターにあっても、稼働所得は常に向上されることになろう。そうして、この場合、障害者に保障される最低額は、老齢者に対する所得保障より上回ることが目指されている。このようにして、障害者の経済生活の平均化が目指されているのである。

 ところで、障害者の所得保障についてであるが、すべての障害程度が80%以上である場合には、障害手当が支給される。この障害手当は、社会扶助と同等か、または労災その他事故災害による障害の場合に支給される額とバランスが保たれている。

 障害手当とは別箇に、社会扶助が支給されるが、これは、障害者が生存を維持するに必要な行為を補足するための扶助であって、障害の程度によって医療委員会が認定して社会扶助基金から支給されるものである。

 ことに、所得保障がその機能を十分発揮するのは、重度障害者に対しての場合であるが、まず雇用が不可能な障害者については、労災の場合には、社会保障基金から障害年金が支給されるが、その額は事故以前の稼働所得と同額である。次に、もし、障害が未就業者つまり年少の場合に生じたものであるならば、毎年、社会扶助から手当を支給される。社会扶助は、金額国庫負担による国民基金から支出される。すべて、この種の年金、手当のそれぞれの額は、障害程度を審査の上決定されるが、新法制定によって、障害年金又は手当額の最下限が、常に老齢年金の最下限を下回らないように比較して検討される仕組みとなっている。

 もちろん、機能的又は職能的な再教育を行うためには、所得保障に加えて別の角度から身体障害者のための福祉プランが必要であり、この福祉プランを受け入れるためには、障害度がおおよそ80%以上と認定された障害カードを保有していることが肝要である。こうした障害者の家庭環境の整備のためには、障害者のみに対してではなく、住居についても 、また車の整備についても、さらにハイヤーの予約さらに障害者の権利保護のために弁護士に支払う報酬にも耐えることのできるように、障害者の生活程度を保つことが期待されるとともに、また、障害者の居住する家屋・建物の改善を図ることも必要である。

 ことに、障害者の利用する建物の改善の場合、例えば、アパートのような集団生活の場と、地下室を有する建物は、1年半の間に、障害者向けの諸設備を備えるように新法で規定されている。ただし、家屋等の建物や生活環境の改善については、法律で規定がなされているものの、現実にはまだ実行に至ってはいない。これは、およそ、こうした生活環境の多岐性、複雑性に対応して行政がなかなか追いついていけない点も考慮に入れなければならないのである。

 結局、「障害者福祉基本法」という新法案は、フランス国内における障害者に関する唯一の基本法として、当初の目的である現存諸法令をすべて改訂するという大きな貢献はしているが、障害原因別すなわち戦傷病者、労災、先天的障害などのようにその原因別によって別箇に財政負担する現行の仕組みを一元化したものではない。むしろ、新法の重要度は、それぞれの法規の連係を保ったことと、障害者の生活と社会関与の条件を備える基盤となっていくことであろう。

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