仏の障害者福祉は今・・・。
フランスでは2015年の2月から「ル・コントラ・ド・セキュリザション・プロフェッショネル(Le Contrat de Sécurisation Professionnelle :CSP)」という制度が始まった。直訳すると「職業安定契約」となるが、これは普段の給料の80%を失業手当として受け取りつつ、専門の機関で職業訓練を受けられるというもの。月に一度、コーチング会社のカウンセラーと面談し、就職に必要なスキルを身につけたり、履歴書の書き方や面接の練習を手伝ってくれる。この研修と失業手当ては1年間続くのだが、パートやアルバイト程度の勤務体制でも、ここまで手厚い支援を受けられるのはとても有難い。

フランスでは失業率が9%前後と日本の倍であり、度々問題視されるが、失業率の高さの裏にはこのような手厚い福祉制度があるのだ。日本ではパートやアルバイトでも失業手当がもらえるが、「1週間に20時間以上働き、更に31日以上働き続ける予定であること」が条件となっており、フランスに比べると厳しい。


※<重度障害認定>

重度障害とは、「効率性の低減により、縮小できない、永続的な超過コストが発生していること」をいう。
※ 永続的な超過コストには、
①定期的で計算可能な実際の追加的負担
②障害によって引き起こされ、労働環境の調 整によっては補うことのできない負担が含まれる。

※ 具体的には、
①障害労働者の生産性の減退に関係する負担
②チューターや第三者による支援に関連する負担が 該当する。

重度障害認定を受けた障害者を雇用している使用者に対しては、納付金額(p5)の割引か、障害労働者雇用支援金
(※) の支給のどちらかが認められる。
※ 重度障害者の雇用により生じる負担を軽減することを目的とする助成金。
有効期限は最大3年(永続的部分的不能が80%以上の者が、初めて重度障害認定の申請を行った場合は1 年)。
重度障害であるか否かは、障害者が就いているポスト(仕事)との関係で決まる。
労働環境について適切な措置(使用者の 負う義務)がなされた後に実施される。
そのため、労働環境が良いと、重度障害認定がなされないこともある。

 フランスでは、障害労働者が働こうとする場合、次の3つの方法がある。
①通常の民間企業・ 公的部門での就労。
②適応企業・在宅労働供給センター(CDTD)での就労。
③労働支援機関・ サービス(ESAT)での就労である。

これらのうち、①及び②は、通常の労働市場での就労と され、労働法典の適用がある。

②の適応企業・CDTDは、労働能力の低減した障害者を数多く 雇用する企業で
あるが、以前は保護作業所と呼ばれ、保護雇用の場として位置づけられていた。
他方、③のESATは、社会福祉・家族法典の定める医療福祉機関であり、様々な職
業活動ととも に、医療福祉的、教育的支援も提供される(いわゆる福祉的就労の場)。

したがって、ESATでの 就労は、保護された環境下での就労とされ、
安全衛生等に関する一定の規定の他は労働法典の 適用はない。

第3節で詳解する適応企業とESATは、ともに、数多くの障害者が
働く場として の機能を有し、様々な公的支援の対象ともなっている。

(単位:%)
2006年 2007年 2008年 2009年
障害労働者の直接雇用なし 納付金のみ 納付金+保護セクター
40 35 5
37 29 8
34 25 9
26 11 15

労働協約の締結による雇用義務の履行 6 7 8 9 合計 100 100 100 100
障害労働者の直接雇用 障害労働者の雇用のみ 障害労働者の雇用+保護
セクター障害労働者の雇用+保護セクター+納付金 障害労働者の雇用+納付金
53 26 8 7 12
56 26 7 9 15
58 27 8 9 15
65 29 9 12 15

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調 査 研 究 報 告 書 №110ついても、社会的経済的状況の変化に
対応し、組織や仕事の在り方を現代化していくことが課題 となっている。

第4節では、障害者権利自立委員会(CDAPH)による
障害労働者認定から始まる職業リハ ビリテーション施策
の実態が述べられ、第5節では、主要な所得保障制度である。

障害年金、労 災年金及び成人障害者手当(AAH)につ
いて、障害要件と 障害認定を中心に概要がまとめら れており、
障害者の福祉施策が、制度の所管、対象者、認定方法等さまざ
まに並立しているフ ランスの現状と課題について触れられている。


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